2011年5月29日日曜日

【レポート】瀬戸内寂聴講演会『無常の中の希望といのち~大震災をともに生きる~』



5月28日(土)、梅雨入りと台風の影響もあり朝から雨が降り止まない中、徳島市内のあわぎんホールでは、瀬戸内寂聴講演会『無常の中の希望といのち~大震災をともに生きる~』が行われました。この講演会は、東日本大震災の犠牲者の方々への追悼と、被災地の復興を祈るという目的で、主催のNPO法人『徳島アルク』が企画し、徳島出身の作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん(89)に声をかけ実現したものです。



午後1時15分頃、予定より少し早く開場となり、会場に入ると美空ひばりの『川の流れのように』がエンドレスで流れていました。午後2時になると開演となり、まず主催者の挨拶があり、全員起立して1分間の黙とうの後、真言宗僧侶15名による読経が行われました。その後、ステージに丸いガラステーブルとイスが置かれ、しばらくして寂聴さんが登場し講演が始まりました。

これまで、講演の際には、必ず立ってしゃべっていたと言う寂聴さん。昨年11月から今年4月まで、腰痛(徳島新聞の記事によると背骨の圧迫骨折)のため寝たきりで歩けなかったということで、今回は終始イスに座っての講演となりました。震災後、ベッドで横たわりながら被害の様子をテレビで見て、「まさに生き地獄、漫画を見ているようだ」と思ったそうです。原発ショックのおかげで立てるようになり、それからはリハビリにも励み、新聞各社に被災地へ向けたメッセージを発表、釈迦の誕生日を祝う花祭りの日には、京都の寂庵でチャリティーバザーも開き、その収益金に寂聴さんの個人の義援金も合わせ、岩手県二戸市の市長さんに、「親を亡くした子どもへ、学校に行く費用として使ってください」と言って手渡したとのことです。

”震災は天災だけど原発は人災” とキッパリ。人はどう言っても私はこう思うという信念を貫いてください。東北は徳島、京都に続く第3の古里。新聞に載っている震災で亡くなられた人の名前を書き写して、それを供養してくださいと私に手紙を送って来た人がいました。何でもいい。自分にできることをすれば思いは必ず届く。東北の人たちは、私たちの代わりに災害を受けてくれた。キリスト教ではイエスが十字架にかけられたように、東北の人たちが苦しみを引き受けてくれた。”絶望しないでください。どんなに苦しくても同じ状態は続かない、どん底の下はない” 震災が起こった時はショックで何も考えられないが、落ち着いてきた時が危ない。鬱になって自殺してしまうと心配する寂聴さん。「ここにいる人たちは、幸せな人。今日は帰って旦那にいい物を作りなさいよ。隠してあるお酒も出して」と、時折ジョークも交え、終始和やかなムードで講演会は幕を閉じました。6月には被災地に入り、小説を書くのより上手いと言われる特技の”あんま”で被災者を励ましたいと、にこやかな表情で語る寂聴さんでした。今年89歳とは思えないほどのユーモアでキレのあるトークに来場のみなさんは元気をもらって帰ってる様子でした。

※この記事はガジェ通一芸記者の「原 後彦」さんが執筆しました。
●原 後彦:歌モノのCMを得意とする徳島在住のクリエイター。LOVE LOCAL地元CMコンテスト2010 グランプリなどCMコンテストでの受賞作品多数あり。