2011年5月31日火曜日

「がんばろう」をやめるべきではない3点の理由

ガジェット通信に『「がんばろう」をやめるべき3点の理由』が掲載されていたので
別視点から当事者の一人として意見を書いてみます。
最近、このような記事が増えてきて、実際にやっている人間として、つらいと感じております。
同時に、記事を書くことで、万が一、現在の利用者に迷惑をかけるかもしれないという不安もあります。
しかし、“覆水盆に返らず”にならないように、私なりの意見を書かせていただきたいと思います。

「がんばろう」をやめるべきではない3つの理由


ささやかながら『がんばろう日本。』プロジェクトをしている当事者として、「がんばろう」を使った方がいいと思う理由を3点ほど挙げてみます。

●「がんばろう」以上により良い言葉がない

“「がんばろう」をやめるべき”という意見が出ることは、言葉を使う仕事をしている人は想定外ではないと思います。
私も、ブログで震災支援ロゴ提供(3月16日)後から、常に、より良い言葉の可能性を考えていますが、それ以上の言葉が見つかっていませんし、同業の書家や名だたる広告代理店も出せていません。
もしかしたら、これ以上の言葉はない可能性もありす。
マスコミやポータルサイトでの記事によって、「がんばろう」という言葉を使いにくくすることは、とても簡単だと思います。
その代り、「がんばろう日本」同等の代替がなかった場合、“覆水盆に返らず”で、手の打ちようがなくなります。
共感しやすい言葉がないと、企業の支援・経済活動がやりにくく、被災地以外の一般の方の意識はどんどん薄れていきます。
これは、誰も望むことではないと思います。

●不幸がないだろう相手からは、どんな言葉をかけられても不愉快と感じることはある

「がんばれ」ではなく「がんばろう」という表現に支持が集まったのは、震災被害の大きさから、“被災地だけでなんとかなる話ではない”という思いがあったからです。
そのため、「がんばっている被災地の人に、がんばれというのはひどい」という誘導は、「がんばろう」という言葉をあえて選択した人の思いを適切に理解はしてもらえてないと思います。
また、不幸がないだろう相手から、どんな言葉をかけられても素直に受け取れない状況はあると思います(私もそうだと思います)。
ただ、これは、「がんばろう」に限った話ではないことを認識してほしいです。
むしろ、配慮しすぎ、非難を恐れて、結果的に、被災者の方に声をかけない風潮が生まれるマイナスを心配します。

●共通の言葉があるほうが、個人や中小企業が活動しやすい

1つの大きな方向性で進まないといけない場合には、人がバラバラの方向を向いていたのでは、大きな力を生み出すことが困難で、そのために、共感できる共通の言葉の存在は非常に重要と考えます。
大企業は共同のロゴやテーマを使わずとも、自社オリジナルテーマやロゴを作り、露出を増やすことで知名度を上げてアピールでき、成果も大きなものになります。
しかし、日本の大多数を占める個人や中小企業は、自分でテーマを作って広めるなんてできません。
そのため、認知度のある共通の言葉や共用ロゴの存在は、支援活動や自粛ムードの中、支援活動実施の背中を押してくれます。
私がロゴを提供した理由は、不況状態の日本に、震災の自粛ムードで経済がさらに疲弊していくことを何とかしたいという思いから、私の専門分野“楷書以外で日本語を書く”ことで、支援の一役を担えると思ったからです。
共通の言葉やロゴは、上司や取引先に提案する場合に利用すると交渉やミーティングがスムーズに行ったり、消費者が一目見てわかるので支援活動がやりやすいとの報告は多数いただいています。

以上の三点から、「がんばろう」という言葉を安易に否定するのは、日本や被災地にとってマイナスな結果を生み出してしまうので良くないと思っています。

本当に「日本は、がんばらなくていい」と思っているのは、もしかしたら、日本ががんばらないことで、利益を得る国なのかもしれません。

うどよしさんプロフィール:書道家。現在、サイトで震災支援ロゴ提供中。既存の書を苦手な初心者や外国人にペン字で書くように“とめはね等を少なくして書く書道”を提唱。東京上野でうどよし大衆書道教室主宰、千代田区生涯学習館 書道講師。