2011年3月10日木曜日

WIMAXの広告に見る父娘関係の受難



著者が、山の手線を乗っているとき、広告をみたら衝撃的なWIMAXの広告が目に飛び込んできた。

「娘のアパートに男は絶対立ち入り禁止だ。たとえそれが、回線工事の人であっても」

実際、近年において、父娘関係は意外に良好らしく、父の日に関するアンケートでも、約6割の娘が父親と理解し合っていると思っているようだ。そこで、このような広告を出す意図がUQコミュニケーションズ株式会社は一人暮らしの娘のことを心配する父親をメインターゲットにしているのだろう。大学進学時(二十歳前後)の女性では受験で忙しく「インターネットのプロバイダーを何にすれば良いか」を考える情報も乏しく(そもそも興味ない女性も多いだろう)父親がプロバイダーを決定する主導権を果していると読むUQのマーケティング戦略はあながち間違ってはいないだろう。

だが、もう少し深読みするならば、広告文のように単に男性を近づけたくないなら、インターネット回線ではなく、携帯(スマートフォン)に意識を向けるべきではないだろうか。そもそも、インターネットの性質の重要な部分として、人と人との接続の効率化にある。その意味では、PC接続であろうが、携帯接続だろうが娘が見ず知らずの男性との接触は、無い時よりある時の方が高まるわけだ。さらに、若い人ほどPCよりも携帯電話からインターネットに接続する傾向にあり、携帯電話の規制こそが、今後父親が娘に対して男を近づけない一番の戦略であるといえそうだが、そんなことは通信業者は断じて広告文には出来ないだろう。

現代において、過去のように本当に娘を箱入りにして親が恋愛や婚約に口を出したいなら、一人暮らしをさせず、携帯電話、パソコン共に持たせないという戦略以外にはない。つまり完全な他者関係の切断である。だが、その戦略は、父親の家族でのポジションが問題になる社会では積極的にはとることができない。大黒柱としての父親像が機能しなくなった社会において、せめて「父親が直接管理しても、娘に嫌われることがなさそうな通信業者の選択で娘を管理しましょう」とUQが、年頃の娘をもつ通勤途中の父親達の欲望を補完しているのが透けて見えてしまう広告なのではないだろうか。

(Diamond online)
http://diamond.jp/articles/-/8279
(goo Reserch)
http://research.goo.ne.jp/database/data/001210/